公共分野のデジタル化に関する興味深い「非公式」情報や、政府・行政機関からのお知らせなど、今ホットな話題を紹介します。
1.公共分野デジタル化動向
【政府】
■デジタル庁が発足
9/1、デジタル庁が発足しました。デジタル庁発足式は、内閣総理大臣、デジタル大臣、デジタル監、CxOなどのデジタル庁幹部をはじめ、多くの職員がリモートで出席しました。デジタル庁は、ミッションとして『誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を。』、ビジョンとして『Government as a Service』『Government as a Startup』を掲げています。
https://www.digital.go.jp/posts/uWAA9Dcp
■デジタル庁、ロゴを発表
デジタル庁は、ブランドロゴを発表しました。オープンソース書体である「Noto Sans」を基本に、字間や太さなどをロゴとして扱いやすいよう調整しています。図形(シンボルマーク)は用意せず文字列(ロゴタイプ)のみです。
https://www.digital.go.jp/about/brand
■デジタル庁、GIGAスクール構想についてのアンケートの取りまとめ結果を公表
デジタル庁は、7/1~7/31まで実施した「GIGAスクール構想に関する教育関係者の皆様へのアンケート」及び児童生徒への「タブレットについてのアンケート」の取りまとめ結果を公表しました。アンケートの取りまとめについては、テキスト解析の技術を扱う事業者等の協力を仰ぎ、アンケートをより深く、多角的に分析することを試みています。
https://www.digital.go.jp/posts/NL3lOB9E
■内閣府ほか、令和3年度スマートシティ関連事業の選定結果を公表
内閣府、総務省、経済産業省および国土交通省は、令和3年度のスマートシティ関連事業として、62地域、74事業を選定しました。選定結果は以下の通りです。 (1)未来技術社会実装事業:9事業 (2)データ連携促進型スマートシティ推進事業:9事業 (3)地域新MaaS創出推進事業:14事業 (4)日本版MaaS推進・支援事業:12事業 (5)国土交通省スマートシティモデルプロジェクト:30事業
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/r3_smartcity_jigyou.html
■公的情報基盤(ベース・レジストリ)の整備に向けた「地番」情報の取扱いについて
内閣府、内閣官房、総務省、法務省、農林水産省および個人情報保護委員会は、土地・地図情報の整備にあたり重要な情報の1つである「地番」について、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の適用関係について整理しました。当面はこれに従い、個人情報の保護、行政機関における利用・提供を行います。
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/document/210827document01.pdf
■総務省、AIネットワーク社会推進会議 AI経済検討会 報告書2021の公表
総務省は、「AIネットワーク社会推進会議」の下で開催している「AI経済検討会」で検討した結果を「AI経済検討会 報告書2021」としてとりまとめ公表しました。データをめぐる国内外の動向やデータの経済価値に関する検討、新型コロナウイルス感染症とデジタル化 等についてとりまとめを実施しています。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000100.html
■総務省、「住民記録システム標準仕様書【第2.0 版】」の公表
総務省は、「自治体システム等標準化検討会(住民記録システム等標準化検討会)」で検討、取りまとめられた「住民記録システム標準仕様書【第2.0 版】」を公表しました。デジタル手続法やデジタル社会形成整備法による住民基本台帳法の改正に伴う対応などが反映されています。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei04_02000097.html
■総務省、情報通信行政に対する若手改革提案チームによる提言書の公表
総務省は、若手改革提案チームによって取りまとめられた、今後のあるべき情報通信行政の実現のために必要な改革についての提言書、「情報通信行政に対する若手からの提言~総務省2.0へのロードマップ~」として公表しました。6つの検討分野のうち、「情報流通・横断分野」では、部局横断的な政策課題に対し、プロジェクトベースでアジャイルな取組を可能とするための組織改革などを提言しています。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin01_02000321.html
■経済産業省、年間25万件の紙申請をデジタル化、行政手続きコスト4割削減へ
経済産業省は、ぺガジャパンがPega Platformを活用して構築した「保安ネット」を利用し、年間25万件の紙申請をデジタル化しました。これにより、産業保安・製品安全関連法令に基づく行政手続きをオンラインで申請可能とし、行政手続きに要するコストの4割削減が見込めると期待しています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000054655.html
■経済産業省、デジタル産業の創出に向けた研究会の報告書『DXレポート2.1(DXレポート2追補版)』を取りまとめ
経済産業省は、「デジタル産業の創出に向けた研究会」での検討結果を『DXレポート2.1(DXレポート2追補版)』として取りまとめ、公表しました。DXレポート2(中間取りまとめ)を補完する形で、デジタル変革後の産業の姿やその中での企業の姿を示すとともに、企業の変革を加速させるための課題や政策の方向性を示しています。
https://www.meti.go.jp/press/2021/08/20210831005/20210831005.html
■デジタル庁創設を契機とした「利用者視点」のマイナンバーカード活用に向けた意識調査
NTTデータ経営研究所は、「多様な民間サービスでの活用促進に向けたマイナンバーカード意識調査」の調査結果を公表しました。マイナンバーカード取得状況は、20代は未取得者が最も多く、未取得理由として「特に理由はない」(30.9%)が最も多く選ばれており、マイナンバーカードに対して無関心であることが分かりました。また、20代は未取得者が最も多く、未取得理由として「特に理由はない」(30.9%)が最も多く選ばれており、マイナンバーカードに対して無関心であることが分かりました。
https://www.nttdata-strategy.com/newsrelease/210824.html
■「デジタル実践議員の取組みアンケート2021」の結果を公表
株式会社ワーク・ライフバランスは、「デジタル実践議員宣言」をした国会議員100名を対象に「デジタル実践議員の取組みアンケート2021」を実施し、結果を公表しました。「国会がデジタル化しない理由」の1位は「国会議員のITリテラシーが低いから」、「議員事務所がデジタル化しない理由」の1位は「紙資料のほうが好き・使いやすいと感じる人が多い」ということが分かりました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000052805.html
■中小企業の経営者・役員に聞いた「オープンデータの活用に関する調査」
株式会社コネクトデータは、「オープンデータ」に対する意識を調査するため、全国の中小企業の経営者・役員を対象に「オープンデータの活用に関する調査」を実施し、結果を公表しました。「オープンデータを、自社の課題解決や新規企画のために活用したことがない」と回答したのは約8割でした。また、オープンデータ活用における課題第1位は「欲しいデータが見つからなかった」、第2位は「データの形式にばらつきがあり分析がしにくかった」となり、データ収集に課題を感じる企業は合計約9割に上りました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000069789.html
【自治体】
■東京都、ユーザーテストガイドラインを公開
東京都は、ユーザーテストの具体的な手法を「ユーザーテストガイドライン」として整理、公表しました。テストしないものはリリースしない」を合言葉に、都庁内でサイトやアプリ、システムなどのデジタルサービスを開発する時は、本ガイドラインに基づきユーザーテストの実践を徹底していきます。
https://shintosei.metro.tokyo.lg.jp/post_utgl/
■三重県、DXを推進するワンストップ相談窓口として「みえDXセンター」をスタート
三重県は、DXに関するワンストップ相談窓口「みえDXセンター」をスタートしました。都道府県として、県民や県内事業者、行政機関(市町・県)を対象としたDXに関するワンストップ相談窓口を設置したのは、全国で初めてです。「みえDXセンター」では、三重県が考えるデジタル社会形成に必要な要素を5つのカテゴリーに区分し、「みえDXアドバイザーズ」「みえDXパートナーズ」に登録された専門家や企業は、相談者からの依頼に基づき、カテゴリーごとの人材育成に関する無料セミナーや情報提供、専門家や企業が有する知見によるアドバイスなどを実施します。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000075701.html
■長野県DX推進の一環としてAI音声文字起こしサービスの実証実験を開始
時空テクノロジーズは、長野県DX推進課をはじめとする長野県内自治体等におけるAI音声文字起こしサービス「ログミーツ」の試験導入、実証実験を開始しました。長野県、上田市、飯田市、諏訪市、伊那市、須坂市、駒ヶ根市、塩尻市、佐久市、軽井沢町、箕輪町、生坂村、山形村他、計15団体が実証実験に参加している。実証実験では、議会・一般の会議・タウンミーティングなど、様々な場面で検証されています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000055524.html
■福井県、Microsoftのアプリケーションを活用した業務改善事例の収集と職員による投票を開始
福井県は、福井県庁の全職員を対象として、Microsoftのアプリケーションを活用した業務改善事例の収集と職員による投票を行い、先進事例を全庁に広げるプロジェクトを開始しました。優良事例については、全庁に展開する予定です。
http://www2.pref.fukui.jp/press/view.php?cod=8aRbZ01627539857be
■森町、電子契約の実証実験を開始
北海道森町は、弁護士ドットコムとSBテクノロジーが共同開発し、提供を行う「クラウドサインfor Microsoft Teams」における実証実験を開始することを公表しました。自治体における「クラウドサインfor Microsoft Teams」の実証実験は今回が初めてです。
https://www.town.hokkaido-mori.lg.jp/docs/2021081600017/
■福島市、LINE公式アカウントへ災害時通報機能を追加
福島家福島市は、市のLINE公式アカウントへ災害時通報機能を追加しました。利用者が災害時に河川の増水や道路の冠水、地震による被害状況などの情報を福島市LINE公式アカウントから通報することで、市はその情報を災害対応に活用できるようになります。
https://www.city.fukushima.fukushima.jp/kohoka-koho/shise/koho/happyo/r0301/documents/20210820-3.pdf
■茂原市、デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進本部を設置
千葉県茂原市は、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進し、デジタル技術の活用による市民等の利便性向上及び庁内の業務効率化を図るため、茂原市デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進本部を設置しました。本部は、DXに係る基本的かつ総合的な施策の推進に関すること、DXに係る施策の総合調整に関すること、その他行政及び地域のDX推進に必要と認められる事項に関することを所掌します。
http://www.city.mobara.chiba.jp/0000006716.html
■会津若松市、デジタルによる新型コロナウイルスワクチンの接種記録を確認できるサービスの実証を開始
福島県一般社団法人スーパーシティAiCT(アイクト)コンソーシアムは、会津若松市と連携して、会津若松市民を対象に、デジタルによる新型コロナウイルスワクチンの接種記録を確認できるサービスの実証を9月下旬から順次開始します。ウォレットアプリ「会津財布」で、自分のワクチン接種記録を確認することが可能になります。会津若松市では、市民が簡便な手順で自身の情報を確認し、効果的に活用できる仕組みの検討を進めるとともに、市民や事業者の協力を募りながら、このようなサービスを活用する効果や課題点について実証していきます。
https://aizuwakamatsu.mylocal.jp/detail?wid=47636495
■渋谷区、高齢者デジタルデバイド解消に向けた実証事業を開始
東京都渋谷区は、高齢者のデジタルデバイド解消による生活の質の向上を目的としてスマートフォンを無料で貸し出す実証事業を開始しました。区が募集した65歳以上でスマートフォンを保有していない約1,700名の区民を対象に貸し出します。あわせて、勉強会などによるスマホデビュー時のサポートや、本実証参加者のスマートフォン利用状況の分析結果を基にした利用促進サポートを実施します。
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kusei/koho/hodo/20210906.html
■箱根町、交通防災情報統合webサイト「はこぼうマップ」の実証実験を開始
神奈川県箱根町と横浜国立大学は、交通防災情報統合webサイト「はこぼうマップ」の実証実験を開始しました。平時はバスロケーションシステム等を活用した交通情報を、災害等の発生時は避難所の開設状況等の防災情報を閲覧することができるwebサイトで、町民や観光客の方々が、日常から非常時まで必要な情報を提供します。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000085448.html
■松阪市、「手続きチェックシート」を公開
松阪市は、ライフイベント(お引越し、結婚等)に関連した代表的な手続きを一覧としてまとめ、「手続きチェックシート」として公開しました。お引越しや結婚等のライフイベントに伴い発生する手続きや、各手続きに必要なものを確認することができます。
https://www.city.matsusaka.mie.jp/soshiki/15/checksheet.html
■加古川市、「オンライン申請(スマート申請)」「くらしの手続きガイド(スマートナビ)」の運用開始
兵庫県加古川市は、一部行政手続きのオンライン申請(スマート申請)を開始しました。同時に引っ越しなどのライフイベントの際に必要な行政手続きや持ち物、窓口などがPC、スマホで確認できる「くらしの手続きガイド(スマートナビ)」の運用を開始しました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000084250.html
■室戸市、VRワクチン接種研修を実施
高知県室戸市は、産学官連携によるヘルステック事業推進の一環として、VR注射シミュレーターの体験を行いました。「VR注射シミュレーター」はイマクリエイト株式会社が開発し、注射に慣れていない医療関係者でも筋肉注射の研修を効率的に行う為のVRコンテンツです。
https://www.city.muroto.kochi.jp/pages/page1746.php
【海外】
■米国・一般調達庁(GSA)、U.S.Digital Corpsを立ち上げ
バイデン政権は一般調達局(GSA)、ホワイトハウス行政予算局、人事管理局等の協力を得て、U.S.Digital Corpsの立ち上げを公表しました。これは早期キャリアの技術者を採用する新しい2年間のフェローシップで、ソフトウェアエンジニアリング、データサイエンス、デザイン、サイバーセキュリティ、およびその他の重要なテクノロジー分野のスキルセットを持つ米国人を採用予定です。
https://www.gsa.gov/about-us/newsroom/news-releases/biden-administration-launches-us-digital-corps-to-recruit-the-next-generation-of-technology-talent-to-federal-service-08302021
■トルコで初となる国家AI戦略を発表
トルコ政府は、トルコで初となる国家AI戦略(National Artificial Intelligence Strategy:NAIS)を公表しました。国家AI戦略には、2021~2025年の期間で目指すビジョン、6つの戦略的優先項目とこれに沿う22の目標、119の具体的なアクション、ガバナンス体制などが含まれています。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/08/f20a330730103a49.html
■COVID-19によって引き起こされたDXによって世界中の政府のIT支出が増加
ガートナーは、世界のIT支出について最新の予測を発表しました。それによると、世界中の政府は2022年にIT予算を6.5%増やすと予想されており、全体の支出の64%が「公共サービスの応答性と回復力を向上させるITサービスとソフトウェア」に向けられるとのことです。また、政府機関の50%以上が、2025年までにソフトウェアを最新化し、復元力を向上させると予測しています。
https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2021-08-31-gartner-forecasts-global-government-it-to-grow-in-20220
(編集) 行政情報システム研究所 主任研究員 平野隆朗