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2021.11.24

公共分野デジタル化動向(2021.11.24)

1.公共分野デジタル化動向
[政 府] 内閣官房、「デジタル臨時行政調査会」を設置 ほか
[自治体] 東京都、OSSガイドラインを公開 ほか
[海 外] シンガポール・テクノロジー局(GovTech)、全政府機関で電子IDの利用可能へ ほか

公共分野のデジタル化に関する興味深い情報や、政府・行政機関からのお知らせなど、今ホットな話題を紹介します。

 

1.公共分野デジタル化動向

 

【政府】

■内閣官房、「デジタル臨時行政調査会」を設置
政府は、11/9に「デジタル臨時行政調査会」を設置しました。目的は、デジタル改革、規制改革、行政改革を一体的に実行することにより、国や地方の制度・システム等の構造変革を早急に進め、個人や事業者が新たな付加価値を創出しやすい社会とすることです。
https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/digital/20211109_meeting_extraordinary_administrative_research_committee_01.pdf

 

■内閣官房、「デジタル田園都市国家構想実現会議」を設置
政府は、11/11に「デジタル田園都市国家構想実現会議」を開催しました。目的は、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」の実現に向けて構想の具体化を図ること、またデジタルの実装を通じて地方活性化を推進することです。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/index.html

 

■デジタル庁、「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」を改定
デジタル庁は、9/10に開催した第1回デジタル社会推進会議幹事会において、「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」の改定を決定しました。改定箇所は、デジタル庁の設置に伴う政府全体のITガバナンス体制などについてとなっています。
https://www.digital.go.jp/posts/yS0M_VaX

 

■デジタル庁、「コロナワクチンの接種証明書(電子交付)の仕様に関するご意見」の取りまとめ結果を公表
デジタル庁は、9/17~9/30まで実施していた「コロナワクチンの接種証明書(電子交付)の仕様に関するご意見募集」の取りまとめ結果を公表しました。この中では、二次元コードやAPIを利用予定の事業者、自治体、医療機関、公共機関から得た主な意見と対応方針がまとめられています。
https://www.digital.go.jp/posts/LbGO0j4g

 

■デジタル庁、ガバメントクラウド先行事業の採択結果を公表
デジタル庁は、ガバメントクラウド先行事業の採択結果を公表しました。市町村の基幹業務システムは、神戸市、倉敷市、盛岡市、佐倉市、宇和島市、須坂市、美里町、笠置町の計8団体を採択しました。また地方自治体のセキュリティシステムは、7県258市町村、2県46市町村の計2グループを採択しました。
https://www.digital.go.jp/posts/ZYzU5DYY

 

■デジタル庁、「教育データ利活用」についての意見を11/26まで募集
デジタル庁は、10/25~11/26の期間、教育データ利活用に関する意見を、デジタル庁アイデアボックスにて募集しています。目的は、今後同庁ほか関係省庁にて教育データの利活用を図る上で、目指すべき姿やデータ蓄積と流通の将来イメージを整理することです。
https://www.digital.go.jp/posts/tGZmsuPh

 

■デジタル庁、新重点計画の策定に向けた意見を募集
デジタル庁は、「デジタル社会構想会議」にて策定される、デジタル社会の実現に向けた「新重点計画」に向けての意見を、11/5~11/18の期間にデジタル庁アイデアボックスにて募集しました。テーマは「経済成長を実現するためにどのようなデジタル化が必要だと思いますか?」などです。
https://www.digital.go.jp/posts/fP9l2KD4

 

■デジタル庁、「デジタル改革共創プラットフォーム」を開始
デジタル庁は、政府と自治体職員との対話の場である「デジタル改革共創プラットフォーム」の運用を開始しました。これは、過去に内閣官房IT室が運用していた同プラットフォームをリニューアルしたもので、今後は自治体職員と各省庁との対話環境を中長期的に一元化していく観点から、Slackを活用することとしています。
https://www.digital.go.jp/posts/4PB81KNy

 

■総務省、「第6回 地方公共団体における統計データ利活用表彰」の受賞団体及び「統計データ分析コンペティション 2021」の受賞者を発表
総務省は、「第6回 地方公共団体における統計データ利活用表彰」の受賞団体と「統計データ分析コンペティション2021」の受賞者を発表しました。「地方公共団体における統計データ利活用表彰」の総理大臣賞は、佐賀県佐賀市「介護予防DX~データを活用した介護予防推進事業~」が、「統計データ分析コンペティション 2021」の総務大臣賞は村澤 舞・山家 里穂(広島大学附属高等学校)「日本におけるワークライフバランスの達成状況とその課題」が、それぞれ受賞しました。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01toukei09_01000066.html

 

■経済産業省、デジタル化応援隊事業再開
経済産業省は、不正の疑いがある事案が複数確認されたために新規支援を停止していたデジタル化応援隊事業について、利用規約を改定した上で10/19から再開しました。改定後の利用規約では、主にIT専門家の登録要件を、中小企業診断士、ウェブデザイン職種の技能検定合格者、情報処理安全確保支援士などの有資格者に厳格化しています。
https://www.meti.go.jp/press/2021/10/20211019007/20211019007.html

 

 

【自治体】

■東京都、OSSガイドラインを公開
東京都は、GithubにてOSS活用のためのガイドラインを公開しました。策定目的は、都が保有するソースコードを他自治体と共有することでOSSを自律的に発展させること、またOSS活用の動きを全国に波及させることで類似システムの開発コストを縮減させることとしています。
https://github.com/Tokyo-Metro-Gov/tokyo-oss-guideline

 

■東京都、「都知事杯オープンデータ・ハッカソン」を開催
東京都は、12月中旬から翌年1月下旬までの期間において、都のオープンデータを活用し行政課題の解決に向けたデジタルサービスの提案を行う「都知事杯オープンデータ・ハッカソン」を開催します。応募対象は「東京都のオープンデータを活用したサービス開発を目指す個人又は団体」、また応募期間は11/5~12/8までとしています。
https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/news/2021/202111_003.html

 

■東京都、「TOKYOワクションアプリ」をリリース
東京都は、「TOKYOワクションアプリ」をリリースし、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種記録登録を開始しました。プラットフォームはLINEを使用しており、ワクチン接種記録の登録後、同アプリから、協賛企業や都が提供する様々な特典に応募できるとしています。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/10/29/23.html

 

■富山県、県職員向けDX推進オンラインプログラム「Japan Go Digital!」を実施
富山県は、県職員向けDX推進オンラインプログラム「Japan Go Digital!」をシンガポール国立大学と共同で実施しました。受講内容にはデザイン思考やデータ利活用、サイバーセキュリティなどが組み込まれており、知事政策局、地方創生局などに在籍する職員5名が受講しました。
https://www.pref.toyama.jp/102003/news_release/japangodigital_20211110.html

 

■神奈川県横浜市中区、区役所にてリアルタイム字幕システムを活用した実証実験を開始
神奈川県横浜市の中区役所は、「I・TOP横浜」の一環として、京セラ株式会社の提供するリアルタイム字幕システムを活用した実証実験を開始しました。同システムは音声認識を活用することで、マスク着用時やアクリル板越しの会話でも意思疎通を取りやすくすることが期待されています。
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/keizai/2021/1012zimakusystem.files/0003_20211012.pdf

 

■長崎県五島市、ドローン航空管制システムの実地検証を実施
長崎県五島市は、ドローンを安全に社会へ実装することを目的とし、ドローン管制システムの実地検証を10月に実施しました。この中では、五島市福江島および周辺海域上空で複数のドローンを飛行させ、空の交通整理と運航管理のあり方を検証しました。
https://www.city.goto.nagasaki.jp/s007/040/010/010/080/20211003165924.html

 

■宮崎県都城市、デジタル避難所サービスを導入
宮崎県都城市は、Gcomホールディングス株式会社および株式会社バカンと提携し、避難所のデジタル化に着手することを決定しました。2社が避難所の混雑可視化や非接触型の避難所受付を始めとしたサービスを提供し、防災能力の向上を目指すこととしています。本サービスの本格運用は、宮崎県都城市が全国で初めてです。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000088474.html

 

■宮崎県都城市、公式LINEがグッドデザイン賞を受賞
宮崎県都城市の「都城市LINE公式アカウント」は、2021年度のグッドデザイン賞を受賞しました。同サービスは2019/10/31より情報発信を目的として活用されていますが、市政情報へのアクセス性を向上させ、市民とのコミュニケーション活性化に繋げた点が評価されました。
https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/soshiki/6/40445.html

 

 

【海外】

■EU、EIF Toolboxの最新バージョンを公開
EUは、同連合内でデジタルサービスを促進するための相互運用型ツール(EIF Toolbox)について、最新バージョンを公開しました。主な更新点は、同ツールの中におけるさらなる議論活発化を目的とし、ベストプラクティスを共有可能な仕様としたことです。
https://joinup.ec.europa.eu/collection/nifo-national-interoperability-framework-observatory/solution/eif-toolbox/news/new-features-added-eif-toolbox

 

■英国政府、「国家AI戦略」を発表
英国政府は、同国がAI分野において、世界のリーダーとなるための初の戦略「国家AI戦略」を9月に発表しました。この中では、国内の全地域においてAIの恩恵を享受可能とすること、また同国を「明確なルール、適用された倫理原則、イノベーションを促進する規制環境を備えた、AIと共に生活するための最良の場所」と位置づけることなどを定義しています。
https://www.gov.uk/government/publications/national-ai-strategy/national-ai-strategy-html-version#executive-summary

 

■英国・デジタル・文化・メディア・スポーツ省(DDCMS)、農村部へのブロードバンド提供を決定
デジタル・文化・メディア・スポーツ省(DDCMS)は、英国のインターネット接続環境を改善する計画「ギガビットプロジェクト」において、同国の農村部50万世帯へのブロードバンド提供を決定しました。この施策は、「2025年までに英国の85%以上の人々がギガビット対応の回線を利用可能とする」という政府の目標の達成に寄与することが期待されています。
https://www.gov.uk/government/news/better-broadband-for-500000-rural-homes-in-uk-gigabit-revolution

 

■英国・デジタル・文化・メディア・スポーツ省(DDCMS)、公共調達におけるサイバーセキュリティの新施策を発表
デジタル・文化・メディア・スポーツ省(DDCMS)は、「国内のデジタルマネジメント企業はサイバーセキュリティ対策が遅れている」との調査結果を踏まえ、公共調達を行う企業に対し、より厳しいセキュリティ基準を課す新施策を発表しました。同施策には、企業のセキュリティリスク管理を支援するためのアドバイスや、ガイダンスキャンペーンの改善計画なども盛り込まれています。
https://www.gov.uk/government/news/new-plans-to-boost-cyber-security-of-uks-digital-supply-chains

 

■英国・知的財産庁(IPO)、AIと知的財産に関する協議を開始
知的財産庁(IPO)は、AIと知的財産(特に著作権、特許)に関する協議を開始しました。この中では、主に「AIが成した発明・著作物を、特許・著作権で保護すべきか」「どの程度保護すべきか」、また「AIを活用した開発において、著作権で保護されたものを活用しやすくするためにはどうすべきか」について協議を行うとしています。
https://www.gov.uk/government/news/artificial-intelligenceand-ip-consultation-on-copyright-and-patents-legislation

 

■英国政府研究所、デジタル時代の政策立案に関する報告書を公開
英国政府研究所は、データやAIなどのテクノロジーを、より政策立案に広く活用することを求める報告書を公開しました。同報告書では政府に対し、「最高データ責任者の設置」、「技術リテラシーを有す政策担当者の育成」、「政策立案への市民参加を主導する独立機関の設置」などを提言しています。
https://www.instituteforgovernment.org.uk/publications/policy-making-digital-world

 

■米政府、「USWDS 3.0」のベータ版を公開
米国政府は、2022/1にリリース予定の「USWDS(U.S. Web Design System)3.0」のベータ版をGithub Discussionsで公開しました。前バージョンからの更新点は「IE11のサポート終了」、「最新のSassモジュールへの更新」、「一部の機能でJavaScriptの要求を許可」、「バージョン管理可能なコンポーネントパッケージの公開」としています。
https://digital.gov/2021/11/05/webinar-recap-u-s-web-design-system-september-2021-monthly-call/

 

■豪・デジタル変革庁(DTA)と参謀本部国防信号局(ASD)、安全なインターネットゲートウェイ(SIG)を実現するための共同声明を発表
豪デジタル変革庁(DTA)と参謀本部国防信号局(ASD)は、安全なインターネット・ゲートウェイ(SIG)政策の改良とサイバー・ハブの主導を通じ、政府機関のICTシステムをさらに強化するという共同声明を発表しました。特にSIG政策は、既存のSIGを使用している連邦機関が、新しい技術や機能を容易に採用できるよう改良されています。
https://www.dta.gov.au/news/updates-secure-internet-gateway

 

■シンガポール・テクノロジー局(GovTech)、全政府機関で電子IDの利用可能へ
テクノロジー局(GovTech)は全政府機関の対面サービスにおいて、本人確認の際、IDカードの代替として電子身分証明システム「Singpass」アプリの利用を11/1に開始しました。これにより同国市民は、政府機関の窓口やポリクリニック、公共図書館などにおいて、アプリの提示のみで本人証明を完了できることとなります。
https://www.tech.gov.sg/media/media-releases/2021-10-28-all-government-agencies-to-accept-singpass-digital-ic-from-1-november-2021

 

 

 

(編集) 行政情報システム研究所 研究員 小池千尋