機関誌記事(記事単位)

会員限定

2020.02.10

2020年2月号特集 Nestaが取り組むコレクティブ・インテリジェンスを活用した市民参画型スマートシティ

Nesta
Co-Head of the Centre for Collective Intelligence Design ピーター・ベック(Peter Baeck)

Nestaは1998年に英国政府の下部組織である科学技術芸術国家基金として設立された。2010年に非部門公的機関(Non-departmental public body)に変更された後、2012年からは慈善団体に移行するが、”Promote innovation and help ideas come to life(イノベーションを促進し、アイデアの実現を支援)”をスローガンに、グローバルハブとして、様々なツールやコンセプトを提唱している。健康、教育、政府、クリエイティブ、イノベーション政策の5分野に注力し、英国のみならず世界各国の公共機関への実行支援に取り組むNestaが考える市民参加型のスマートシティについて、Co-Head of the Centre for Collective Intelligence Designのピーター・ベック氏に話を聞いた。

取材・文/増田 睦子

1.コレクティブ・インテリジェンスとは

コレクティブ・インテリジェンスとは
コレクティブ・インテリジェンス(集団的知性)(Collective Intelligence:以後CI)とは新しい考え方ではなく、昔から学問として調査研究されてきました。わかりやすく言うと、「複数人のグループがどのように協力して知恵を絞り、チームでの成果をあげていくか」というものです。日本語で言うと「三人寄れば文殊の知恵」というのが近いかもしれません。個々の知識がそれぞれ活かされるというよりも、複数人の知識が合わさって発展的なものになるためにはどうすればいいのかということ。最近ではマネジメントの分野でどのようにすればチームが効率的に働くことができるかという研究がされていますが、これもCIの例と言えます。歴史的にみても、CIにはたくさんの素晴らしい事例があります。最近では、より多くの知識や能力をクラウドソーシングで集約するウィキペディアなどもその一例です。しかし、CIの考え方自体はインターネットが台頭する以前にも存在しており、初期の英語辞書制作などはその典型です。初期の辞書の作り方は色々な人が英単語をまとめ、書簡を送り、編集者がそれらをまとめるというものでした。つまり、様々な言語を話す人たちをクラウドソーシングしていたということになります。CIとはグループがいかにしてよりよく協業できるかいうことでもありますが、特にメンバーが異なるスキルを発揮し、その結果としてグループが最善の能力を発揮できるかが重要だと考えられています。昨今では動物が群れになったときに全体のふるまいがどう変化を起こすのかを調査し、人間が同じように集団になった際はどうなるかを調査する研究も進んでいます。